2011年6月30日木曜日

携帯位牌

(試験監督)「ちょっと、試験会場には携帯は持ち込み禁止ですよ」

(受験生)「は?」

「携帯電話はここに置いて行ってください。いろいろ問題がありましたのでね。預かり証を渡しますから。電源は切ってくださいね」

「携帯? 違いますよ。これは位牌ですよ」

「いや、どう見ても携帯電話にしか見えませんが」

「位牌ですよ! おばあちゃんの! ぼくの合格を楽しみにしてた矢先に・・・・・・」

「なんであれ、携帯電話の持ち込みは認められません」

「だから、携帯ではなく位牌なんですって! 見てください、携帯がこんな風に立ちますか? 仏壇に置く感じで? この金文字の戒名はどうです? どこに番号があるってんです? ええ? この数字は命日です! わかります? auではなく、namuのほう! ボーダフォンではなく、仏法僧のほう! KDDIではなく、ギャーテーギャーテーのほう! Softbankではなく、卒塔婆のほう!」

「いいえ黒いカバーをつけたiPhone! さあ、渡しなさい!」

「ははーん、ひょっとしてiHigh(アイハーイ)をご存知ない?  新時代の信心を支えるスマート位牌を」

「知りません! 渡すことができなければ試験会場への入場を認めませんよ! 」

(受験生、強行突破を試みる。押し止める試験監督。両者揉み合い。そのとき着信音。試験監督)「うわ、鳴った!」

「はい、もしもし!」

「出た!」

「おばあちゃん? うん、元気。今、試験。試験監督の人が入れてくれないの。うん、うん、ちょっと待って。おばあちゃんが代わってって」

「代わって! (しぶしぶと)はい、代わりました。あのですね、お孫さんがですね、携帯を試験会場に持って入ると言い張ってましてね、これは規則上許可できないというわけで、ええ、なに、『あの世には』、はい、『試験もなんにもない』って、そんな、あ、切った!」

 (試験監督から奪い取って)「ありがとう、おばあちゃん! ぼく頑張るよ! さあ来い! さあ解いてやる!」(と試験会場に入ろうとする)

(立ちふさがって)「絶対ダメ。許可できません」

(受験生、おいおい泣き出す)「ごめんよ! おばあちゃん! おばあちゃん! ごめん! 無駄にしちゃった! おばあちゃんの死! これじゃ犬死にだよ!」 (位牌で自分の頭を叩きはじめる)

「ああ、もう、やめなさい、やめなさい! しかたがない! 特例として認めましょう。ただし、電源を切って机の上に置いたままにしておくこと。それに、絶対手に触れてはダメ!」

「えー、それは困ります。絶対に困ります」

「なんで?」

「だって、それじゃおばあちゃんの知恵袋が使えないでしょ!」

「Babaa!知恵袋!」


【回答受付中の質問】 困っています。
shikenkantokuさん

携帯電話を位牌と言い張る受験生がいて困っています。対処の仕方を教えてくださ・・・・・・

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