ひょんなことから人を殺しましたのが18の頃のことでございます。たまたま盗みに入ったところを見とがめられましてね、詮方なく、木刀でポカリ、紐で首根っこをキュウ、とやったわけでございます。立派ななりをしたおじいさんでした。
殺したときはまったく後先なんか考えずに、無我夢中で。ま、これが若さというものでしょう。ですが、自分でいうのもなんですが、根が素直ときている。3日目ぐらいからでしょうか、どうも夢見が悪い。
ああ、じいさん、すまないことをした、なんて柄にもなく悔やみ出したわけで。お恥ずかしい話、いっそのこと自首したら楽になるんじゃあ、だなんてヤケを起こしかけたこともありました。ですが、それじゃあ、じいさんも浮かばれまい、てな気もしてたんでございます。
どうもうまくお話しできないんですが、じいさんばっかりこんな目にあうのは、あんまりにも哀れ、とでも申しましょうか。ま、近頃みなさんがよくおっしゃる「誰それの死を無駄にするな」というのに近いのかもしれませんが、じいさんだけで終わらせてはいかん、そんな殊勝な心持ちになったわけで。
ええ、それからです、ひっきりなしに人殺しをやるようになったのは・・・・・・。
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