2011年9月28日水曜日

バカへの扉

わたしは自分のバカを治療するためにあらゆることをした。

薬を飲んだ。カウンセリングに通った。手術をした。本を読んだ。セラピーを受けた。レントゲンを撮った。バカに効き目ありと聞けば、どんなことでも試した。しかし、ついに医者たちはさじを投げた。

「現代の医学では、あなたのバカは治せないのです」

わたしは未来に希望を託した。冷凍睡眠状態になって、わたしのバカを治してくれるまでに医学が進歩するのを待とうというのだ。

しかし、そう考えたその瞬間、わたしの目の前に、見たこともない男が現れた。彼は未来からやってきたのだと言い、「今後どんなに医学が発達しようと、あんたのバカを治療することはできないのだ」と断言した。

「だから、冷凍睡眠で未来に来ようだなんて料簡を起こすのは止めてほしい。あんたがそんなことをおっぱじめたせいで、他のバカもこぞって冷凍睡眠カプセルにもぐり込んだんだぞ。おかげで未来は過去からやってきた選りすぐりのバカで溢れんばかり、もう破滅寸前なのだ!」

未来人が涙ながらに懇願するので、わたしは哀れを催した。「わかりました。わたしはぬくぬくしたところでしか決して寝ないと誓います」 未来人はホッとした表情で未来に帰っていった。

わたしは本当にがっかりしてしまった。わたしのバカは永遠に治癒不可能なのだ。

もはやわたしには死しか残されていないように思う。バカは死ななきゃ治らない、これはまことのことだった! ああ、死ぬ間際に少しだけ賢くなった!

わたしが死んだら、その亡骸を石膏で固めて医学部のある大学のどこか広々としたところに置いてくれるようお願いする。そして、台座に「医学への戒め」とだけ記して欲しいのだ・・・・・・。

* * *

そのように書き置いて、わたしが自殺しようとした瞬間、奇怪な影が目の前に現れた。そして、自らを冥界からの使者だと告げ、次のようにわたしに語った。「死んだってバカは治らないよ」

まさに絶望の一言。だが、何とか立ち直ってみせた。バカがダメならアホならどうだ、と閃いたのだ。いまでは自分のアホの治療に奔走する日々だ。

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