2011年1月31日月曜日

教育の現場から

大村、前に出ろ。先生は、君に言いたいことがある。

今日、宮崎と内藤が先生のところにきて、君が川口に言ったことを教えてくれたぞ。

二人は君が川口に「お前なんか死んだほうがましだ」「お前なんか生まれないほうがましだ」と言っているのを聞いたというのだ。おい、大村、これは本当のことなのか。

「はいっ」

そうか。ならば、先生に教えてくれないか。君は、川口に対して「お前なんか死んだほうがましだ」と言ったのか? それとも「お前なんか生まれないほうがましだ」と言ったのか? それともその両方を言ったのか?

「両方ですっ」

先生はそれを聞いてとっても残念で悲しい気持ちになったぞ。いや、悔しい! そして、教育者として、この許し難い過ちを子どもに犯させてしまった自分が憎い!

大村、よく聞くがいい。「お前なんか死んだほうがましだ」と「お前なんか生まれないほうがましだ」とはまったく別物なのだ! この2つを一緒くたにするなど、トンでもない!

死んだほうがましなヤツとはな、そいつの人生をつぶさに調べた結果、これは生きるよりも死んだほうがよろしい、と思わせるようなヤツなのだ。

だが、生まれないほうがましなヤツときたら! もう全然ダメ! 生きることも、それどころか死ぬことも全然許されないようなヤツなのだ。死んだほうがましなヤツには、少なくとも死んだほうがましという結論に至るまで生きることが許されていた。ところが生まれないほうがましなヤツは、もう完全なる否定! そもそもからして失敗!

なのに、大村、君はこの2つをまったく区別しなかった。先生はそれが残念でならない!

「先生、わかりましたっ」

なら聞こう! 君は今、川口のことをどう思うかね? 川口、ちょっと来て前に立ちなさい。さあ、大村、よく見るんだ。川口は「死んだほうがまし」なのか? 「生まれないほうがまし」なのか?

「生まれないほうがまし、ですっ」

先生もそう思う! 今日のホームルームはこれで終了!

0 件のコメント:

コメントを投稿