2010年5月31日月曜日

坂本龍馬

黒い岩山からは煮えたぎる溶岩の川が見えました。わたしは川の中で一艘の舟が灼熱の荒波に翻弄されているのに気がつきました。その舟はといえば燃え盛る炎に今にも飲み込まれそうです。

舟の中では、恰幅のよい男たちがなす術もなく火炎に焼かれているのでした。彼らは、あまりの暑さにしきりにのどの渇きを訴え、足下に転がる無数のはっさくに齧りついていました。しかし、それらの果物はすべて熱のためドライフルーツと化し、一滴だって果汁を搾ることもできないのでした。

彼らの絶望によって発せられた絶叫にわたしが耳を思わず塞ぐと、彼はいいました。「この男たちは、もともと政治家で、いい年をして坂本龍馬へのあこがれを表明するなどして、安易で見え透いたイメージアップを図ったがために、このような苦しみにあうこととなったのだ」

あらゆる罪を見逃さない地獄の緻密さにわたしは感嘆して叫びました。「おお、いかに超辛口純米酒《船中八策(日本酒度+8.0)》がよい酒だとしても、これらの罪人たちの渇きはとうてい癒せはしないでしょう!」

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