2010年5月29日土曜日

老眼

人生経験を深め、人間性に対する洞察力を身につけた者は、卑近にとらわれずに崇高を見上げ、些末にこだわらずに大局を見定めるようになる。これを称して慧眼と呼ぶ。わたしは日々の切磋琢磨の甲斐あってか、若輩者ながらついにこの慧眼を備えるに至った。とはいえ、夜の星を夢中になって観察して足下の穴に堕ちた哲学者タレスの例もある。英知に満ちた眼差しだけでは日常生活上思わぬ災難に出くわしかねないのだ。そこで、ちょうど近目の人が使用するような道具、いわゆる眼鏡が必要になるわけだが、近視用のこれがバカ高いのに引き換え、慧眼用の眼鏡はビックリするほど安価なのだ。高くて千円、探せば百円ショップでも 売っている。「慧眼の士でよかった!」と思える瞬間である。

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